ババン時評 政治不信の進行過程

安倍政権下の政官を巡る不祥事で、国民の政治不信は強まる一方である。それなのに、安倍総理と石破元幹事長の一騎打ちとなった自民党総裁選では、石破氏のキャッチフレーズ「正直、公正」が政治力学で封殺された。「正直、公正」こそが、政官不祥事の根を断つ根幹ではないか。

政治不信の「進行過程」を考えると、政治への信頼が低下するのは、政治家への信頼が低下するからであり、政治家への信頼が低下するのは、政治家の言動への信頼が低下するからである。政治家の言動への信頼が低下するのは、政治家の言動に「真実さ、誠実さ、道徳観」がないからである。それでは、安倍総理のモットー?である「丁寧に説明してご理解を得る」のはムリである。政治不信のもとが、安倍総理が得意とするような、政治家の「説明能力」の問題でも、「丁寧な説明」の不足でもないことは明らかである。

そして、言葉の重みは言う人によって違ってくる。安倍首相の「丁寧に説明して理解を得る」という言葉の重みと、「正直、公正」を掲げる石破氏の、どちらに言葉の重みがあるかを判断するのは国民だ。さらに深刻な政治不信の原因は、国民の判断と政治家の判断が乖離していることだ。(2018・9・9 山崎義雄)

ババン時評のババン爺

ババン時評のババン爺こと山崎義雄、80代突入、レキとした市井の後期高齢者。政治、経済、社会の諸相を、鵜の目鷹の目、よこ目に すが目、ためつ すがめつ ババンと時評。短観、断簡 あっけらかん。残念、無念、中高年。社会の荷物じゃありません。一言、世相にモノ申す。元記者・編集者、評論活動、画家。

「逃げるが勝ち」の安倍首相?

ババン爺のババン時評「逃げるが勝ち」の安倍首相? 総裁選を控えて、これまでも安倍首相は石破氏との討論を避けてきたが、今度は北海道地震を理由に討論回避を図り、石破氏の「公示延期」要求も退けた。

自民党総裁選が7日に告示された。3選をめざす安倍晋三首相と石破茂元幹事長の一騎打ちとなる。20日の投開票に向けて、両者の論戦が期待されたが、首相の逃げの姿勢が目立つ。北海道で発生した大地震に配慮して3日間、選挙活動を自粛し、討論会なども延期されることになった。それなら公示日を延期しようという石破氏の提案も入れられなかった。安倍首相は、短期決戦で「逃げるが勝ち」を狙っているようだ。

選管委員長の野田毅衆院議員は、所属の石原派の会合で、「災害を口実に総裁選から逃げているイメージをもたれるのは党にとってプラスにならない。国民はよく見ている」と話したという。これでは、3選しても来年の参院選が怖いのではないか。(2018・9・8)

ババン時評 国を揺るがす「閉鎖社会」の広がり

相撲界、日大アメフト部、ボクシング連盟、そして体操界など、次から次へと情けない不祥事が続く。「健康・明朗」のイメージの強いスポーツ界が、一般人の目の届かないところで、暗い「閉鎖社会」の体質を持っていることに驚く。

百科事典ともいうべきウィキペディアによると、「閉鎖社会」とは、①「考え方などが違う者を受け入れない人々の集まりのこと」、あるいは②「決まり事多すぎ息が詰まるような社会のこと」だという。この組織風土になじめなければ一流の選手になれないというのではあまりに情けない。これではいずれ選手の心も病んでいく。例えば、早くも東京オリンピックに向けてドーピング問題が懸念されている。

さらにウィキペディアは、前者①の類語として、「排他的な社会閉鎖的な社会内向きの社会オープンでない社会差別的な社会 ・ 閉鎖的社会 ・ 排他的社会自閉的な社会タコツボ型社会排外的社会孤立型社会」を、後者②の類語として「タコつぼ型社会 ・ 閉鎖的社会 ・ 重苦しい社会閉塞した社会窮屈な社会」を挙げる。

この類語を見ると、近年、やたらに露呈される官公庁や企業の不祥事の根底にも、「閉鎖社会」の体質があることに気づかされる。ひょっとしてこれは、あらゆる組織体が持つ、避けられない体質なのかもしれないと考えさせられる。「閉鎖国家」とでもいうべき独裁国家に比べれば、日本は開かれた国家だと思うのだが、社会のあちこちで、足元から国の土台が崩れていきそうな気配が出てきているのではないか。                                                      

                   (2018・9・6  ばばんG=山崎義雄)

ババン爺のババン時評

ババン爺のババン時評 「戦争反対、軍備賛成」

毎年8月になると、「非戦の誓い」が繰り返される。二度と戦争を繰り返してはならないという誓いに異を唱える人はまずいないだろう。しかしその「非戦」をどう実現するかが問題だ。

そこで、大きな「戦争の樹」を考えてみた。地中には、日清戦争日露戦争第一次大戦、太平洋戦争の太い根っこが伸びている。そこから“滋養”を得て、地上には「戦争反対」の太い幹が雄々しく立っている。さらにその太い幹は2本に分かれる。

左の太い枝は「戦力不保持=平和憲法」だ。右の太い枝は「憲法改正=防衛力整備」だ。そしてさらに、左の枝は「外交重視」や「国連重視」などに枝分かれしていく。右の枝は、「専守防衛」や「積極防衛」に枝分かれしていく。

その先の小枝には、左派(リベラル)と右派(保守系)の憲法学者やジャーナリズム、政党、各領域の学者、言論人などの枝葉が繁茂する。左右の枝葉はコキ混ぜて、目指すところは一緒で、いかにして「非戦」を実現し「国を守る」かということだ。

長くなるのでいきなり私の結論を言えば、「戦争反対、軍備賛成」だ。無手勝流で「非戦」は守れない。そういう論評を私は折に触れてHP「中高年クラブババンG」に書いてきた。読んでくださる方はHPをのぞいて見てください。(2018・9・4)

 

ババン時評 「嘘つき」と「冷笑」は国を誤る

  

 

これは顔見知りの宅急便のお兄さんの話だが、小学生?の息子2人が、割り勘で父の日プレゼントをしようと相談したところ、弟のほうが、お年玉に差があるのに父の日のプレゼントが割り勘なのはおかしいと抵抗したという。なかなかの経済観念だ。この子が、学校のテストかクイズかで、安倍総理の名前を安倍心臓と書いたという。当然バツだ。父である宅急便のお兄さんは、「こんな難しい字を書けるのにバツはおかしい。先生に掛け合って点数をつけてもらえ」と言ったという。親子ともに、国会野党の先生たちに似た奇抜な論点をもっている。

 その、けっこうな「心臓」の安倍総理は、いよいよ9月の総裁選に臨む。盟友 細田麻二(細田派、麻生派二階派)と共に乗り込んだ乗合船だが、流れの変化で向こう岸(岸田派)が近づき、水辺の竹(竹下派)は風に吹き分けられて騒がしいものの、安倍三選への見晴らしは一段とよくなっている。

これは、私のHPに発表したエッセイ「嘘つきと冷笑は国を誤る」の冒頭部分です。読んでみたい方は、「中高年クラブババンG」をのぞいて見て下さい。