ババン時評 喧しい「国葬」への不協和音

安倍元首相の国葬では、岸田内閣の決定と発表が拙速に過ぎたようでたちまち巷に反対の声が沸き上がった。しかし国葬の是非を問うなら、安倍晋三個人に関するイメージではなく、政治家・安倍晋三の業績をクールに評定すべきではないか。

ババン時評 ♪時の流れに身をまかせ

人はよく、「歳は取りたくないものだ」と言うが、嘆いても足を踏ん張って抵抗しても、人は時の流れに逆らえず歳をとって行く。そして死ぬ。「棺を蓋いてこと定まる」と構えるほどエラくもない身としては、「^^♪時の流れに身をまかせ」 世の移ろいを眺めなが…

ババン時評 今や「発言切取り攻撃」時代

老練政治家の小沢一郎氏が、親子ほど年の違う泉健太立民代表に説教された格好になった。小沢氏が、安倍前首相殺傷事件は「自民党の長期政権が招いた事件」だと言い、これに泉代表が「事件と長期政権などを不用意に関連付けるべきではないと注意した」とツイ…

ババン時評 ウクライナ侵攻をどうみるか

表題に借りた「ウクライナ侵攻をどうみるか」は、フランスの地政学者・ピエール・コネサ氏(73)の新聞論考(読売新聞 7・31)の見出しである。読んだ人も多いだろうが、この論稿は、特に、ソ連崩壊後における世界情勢の変遷を明快に論じていて説得力があ…

ババン時評 「専守防衛」の看板を下ろせ

ウクライナの厳しい戦いを見るにつけ、「専守防衛」の看板を掲げる日本の防衛姿勢の甘さが思いやられる。積極的な防衛戦略と防衛能力を備えた「反撃能力」を構築すべきだ。「専守防衛」の看板を下ろして時流に即した看板に書き換えるべきだ。

ババン時評 夢は故郷の山野を駆け巡る

テレビで、「なぜそこ?日本人!」と言う番組がある。最近、ある高齢男子が都会を離れて山深い故郷に帰り、一人暮らしをしている話が紹介された。関西の名門大学を出て、サラリーマン経験の後、学習塾経営で成功したのに、望郷の思い断ちがたく、塾を共同経…

ババン時評 “無思想犯”の出没する社会

「安倍(元首相)は直接の敵ではない」と言いながらその命を奪うという理不尽で許しがたい暗殺事件から間もなく1カ月となる。先に、「ババン時評 安倍氏逝く 未熟な男の凶行」を書いた(7・9)。なにしろ犯行翌日の感想だから、犯人像の分析が甘かった。当…

ババン時評 共産党の言い分を聞こう?!

日本の政党のなかで、戦前・戦後を一つの名前で通している政党は日本共産党だけだという。その共産党が、結党100周年を迎えた。志位和夫委員長が、記者会見で、共産党の100年を貫く特質は、「不屈性、自己改革、国民との共同」だと話した。つまり、社会進歩…

ババン時評 徴用工問題は厄介な置き土産

先ごろ行われた日韓外相会議(7月18日)では、最大の懸案である元徴用工問題で韓国側が「努力する」と表明したが、韓国・尹錫悦政権の支持率が低下する中で、前向きの政治判断を下して解決策を打ち出せるかどうかについては疑問視する声が強い。こうした効果…

ババン時評 人生はつかの間の戯言

人間、長生きするのも楽じゃないが、人生最後の大事業である死を乗り越えることも容易ではない。それなのに、「すべてつかの間の戯言」(のようなもの)だと言ったのは作家の佐藤愛子さん。近刊の『九十歳。何がめでたい』などもベストセラーになっているら…

ババン時評 温和政治家 藤井裕久氏逝く

元衆院議員の藤井裕久氏が、この7月10日、神奈川のご自宅で亡くなった。90歳だった。穏やかなお人柄で地元民に慕われ、テレビなどを通じてソフトな物腰と物言いで国民にも信頼され、政界では政策通で重きをなした。藤井氏は、大蔵省(現財務省)から、1977年…

ババン時評 安部氏逝く 未熟な男の凶行

テレビの第一報に、一瞬、わが目も耳も疑った。昨日(7・8)、安倍晋三元首相(67)が、奈良で参院選に向けた街頭演説中に、中年男(41)の凶弾を受けて死亡した。ニュースは、国内だけでなく世界を震撼させた。許しがたいテロ、卑劣な凶行、無法な言論封殺…

ババン時評 勝つことより負けないこと

太平洋戦争時に、知将・井上成美中将が提唱した「新軍備計画案」は、海軍主流派の大艦巨砲主義、艦隊決戦理論を批判した上での、新しい空軍、機動部隊中心の海軍再建案だったが、上層部に握りつぶされた(永井揚之助著『歴史と戦略』中公文庫)。井上は計画…

ババン時評 ロシア上空で反戦ビラを撒け?

これは笑えない笑い話だ。ロシアからリトアニア経由でロシアの飛び地・カリーニンググラード(バルト海沿岸)に物資を運ぶ鉄道に、リトアニアが規制を掛けると発表したら、ロシアが最初に抗議した言い分が国際法違反だというもの。国際法違反! ロシアがそれ…

ババン時評 「生活」を政争の具にするな

岸田首相は、記者会見(6・15)で、「断固として国民生活を守り抜く」と述べた。「断固として」立ち向かうテキは、いま、エネルギー関連から食料など生活必需品に広がっている物価値上がりである。首相は、現在の物価高は「ロシアによるもので、有事の価格高…

ババン時評 黒田総裁、値上げはノーです

日銀の黒田東彦総裁は、任期満了まで残り1年を切った。2013年3月に就任し、在任日数が歴代最長となり、任期は来年4月8日まで。就任早々からアベノミクスに肩入れする黒田総裁の金融緩和政策に、生活者の視点から異を唱えてきた当方としては、ウクライナ戦争…

ババン時評 看板倒れの新しい資本主義

直近のツイッターにこう書き込んだ。『ばばん爺ダヨ。岸田首相の新資本主義。「最初は成長と配分」トカ言っていたのに、「配分」政策がないと批判されたら「最低賃金1000円」案が出てきたヨ。これって新資本主義かネ。その上「骨太」政策を頼りにし始めた。…

ババン時評 歌は世につれ、世は歌につれ

今はあまり聞かれなくなったが、「歌は世につれ、世は歌につれ」という成句がある。若者が同世代の歌を聞いている分には、そんな感覚はないかもしれないが、後期高齢者ともなると、己の来し方と重ね、時代の流れの中で聞いた、そして歌った多くの歌の意味、…

ババン時評 揺れる、沖縄の“立ち位置”

沖縄返還50周年は、とりあえずはお祝いムードでやり過ごされた感がある。記念式典で、岸田首相は、在日米軍施設・区域の整理・統合・縮小を進めていると言い、玉城沖縄県知事は、本土復帰時の国の約束、「沖縄を平和の島とする」目標がいまだ達成されていな…

ババン時評 日本語をダメにするデジタル

子供の頃、読んだ本で気に入った場面や挿絵などが何ページ辺りにあったか、なんとなく覚えていたものだ。そんな記憶のある人は案外多いのではないだろうか。大人になっても読んだ本の必要な個所は案外、容易に開けるものである。本という紙に定着した内容は…

ババン時評 世界の“硬化”は露の大誤算

世界が注目した、プーチン露大統領の「対独戦勝記念日」(5月9日)演説は、露の戦死者への追悼とウクライナ侵略は唯一正しい決定だったとする言い訳が中心で、その他の話も中身はウソだらけ。「戦果」の誇示も新規まき直しの「戦争」宣言もなく、赤の広場の…

ババン時評 「失言」の“土壌”は人間性

「生娘をシャブ漬けにしてやる」と言った牛丼チェーン「吉野家」の重役の話を先に書いた(『ババン時評 モノも言いようでカドが立つ』)。これはその続きのような話である。この舌禍事件の報に接した時、まず最初に思ったのは、不用意な発言をしたものだとい…

ババン時評 モノも言い様でカドが立つ

モノも言い様でカドが立つというが、「生娘をシャブ漬けにしてやる」とは穏やかでない。まさにヤクザのセリフだが、マーケティングのプロだという牛丼チェーン「吉野家」の重役(当時)の言だから驚く。これは言い様を間違えたと撤回できるレベルの発言では…

ババン時評 争いに弱い日本人のDNA

また日本の、どっちつかずの外交姿勢が露出した。ウクライナ戦争のさ中に、先ごろ(4・20)ワシントンで開かれたG20(主要20カ国・地域)財務相・中央銀行総裁会議で、ロシア代表が発言する際に、英・米・カナダなどの代表が抗議のために退席したが、日本の…

ババン時評 日本は核を持つべきである

「日本は核を持つべきである」―というのは、フランスの人口歴史学者 エマニュエル・トッド氏の持論である。『文藝春秋』 2022・5月号の、『日本核武装のすすめ』と題する同氏のインタビュー記事が話題になっている。同時掲載の、安倍晋三元首相の論稿『核共…

ババン時評 劣化が進む?日米同盟

テレビ討論(BSフジ「プライムTODAI」3・22)で共産党の小池晃氏が、司会者に(ウクライナ侵攻の)「プーチン大統領を止められるか」と聞かれて「止められない」と即答していた。「ではどうするのか」と問われて、(戦争を防ぐためには)「核兵器を無くする…

ババン時評 再び迎えるか「鬼胎の時代」

「プーチンは軽く盗る気で始めけり」「プーチンの誤算独善アホめけり」―これは私が家元(弟子ナシ)の「めけり川柳」の駄句2首である。軽口はさておき、重い一句に、私の高校時代の恩師・藤田貞雄先生の一句、「長崎忌笑みたる被爆マリア像」がある。今まさ…

ババン時評 若者の夢は「モノづくり」!

いま、日本の若者が“モノづくり”に興味を示しているという嬉しい話をしたいのだが、その前にこんな話を1つ。日刊工業新聞社時代のN先輩から手紙(エッセイ)をもらった。同社は文字通り工業系の業界紙だが、業界紙とはいえ中央省庁や日銀など政府系機関の、…

ババン時評 プーチンが教える軍事強化の要

プーチン・ロシアはウソつき国家である。ウクライナの一部地域から「救援を求められた」から軍隊を派遣したと見えすいたウソをつく。ウクライナを「占領するつもりはない」といいながら首都を始め全土にミサイルを撃ち込む。随所の主要施設やついには原発施…

ババン時評 この世とあの世の境を覗けば

本題は臨死体験の話だが、その前にこんな話を一つ。つい最近、左目の手術を受けた。糖尿病性の網膜症による硝子体手術だった。以前は目玉に麻酔の注射を打ったという話も聞くが、今はそんな恐ろしいことはなく、担当医師の技量にもよるだろうが全く痛みのな…