ババン時評 国を揺るがす「閉鎖社会」の広がり

相撲界、日大アメフト部、ボクシング連盟、そして体操界など、次から次へと情けない不祥事が続く。「健康・明朗」のイメージの強いスポーツ界が、一般人の目の届かないところで、暗い「閉鎖社会」の体質を持っていることに驚く。

百科事典ともいうべきウィキペディアによると、「閉鎖社会」とは、①「考え方などが違う者を受け入れない人々の集まりのこと」、あるいは②「決まり事多すぎ息が詰まるような社会のこと」だという。この組織風土になじめなければ一流の選手になれないというのではあまりに情けない。これではいずれ選手の心も病んでいく。例えば、早くも東京オリンピックに向けてドーピング問題が懸念されている。

さらにウィキペディアは、前者①の類語として、「排他的な社会閉鎖的な社会内向きの社会オープンでない社会差別的な社会 ・ 閉鎖的社会 ・ 排他的社会自閉的な社会タコツボ型社会排外的社会孤立型社会」を、後者②の類語として「タコつぼ型社会 ・ 閉鎖的社会 ・ 重苦しい社会閉塞した社会窮屈な社会」を挙げる。

この類語を見ると、近年、やたらに露呈される官公庁や企業の不祥事の根底にも、「閉鎖社会」の体質があることに気づかされる。ひょっとしてこれは、あらゆる組織体が持つ、避けられない体質なのかもしれないと考えさせられる。「閉鎖国家」とでもいうべき独裁国家に比べれば、日本は開かれた国家だと思うのだが、社会のあちこちで、足元から国の土台が崩れていきそうな気配が出てきているのではないか。                                                      

                   (2018・9・6  ばばんG=山崎義雄)