ババン時評 政治不信の進行過程

安倍政権下の政官を巡る不祥事で、国民の政治不信は強まる一方である。それなのに、安倍総理と石破元幹事長の一騎打ちとなった自民党総裁選では、石破氏のキャッチフレーズ「正直、公正」が政治力学で封殺された。「正直、公正」こそが、政官不祥事の根を断つ根幹ではないか。

政治不信の「進行過程」を考えると、政治への信頼が低下するのは、政治家への信頼が低下するからであり、政治家への信頼が低下するのは、政治家の言動への信頼が低下するからである。政治家の言動への信頼が低下するのは、政治家の言動に「真実さ、誠実さ、道徳観」がないからである。それでは、安倍総理のモットー?である「丁寧に説明してご理解を得る」のはムリである。政治不信のもとが、安倍総理が得意とするような、政治家の「説明能力」の問題でも、「丁寧な説明」の不足でもないことは明らかである。

そして、言葉の重みは言う人によって違ってくる。安倍首相の「丁寧に説明して理解を得る」という言葉の重みと、「正直、公正」を掲げる石破氏の、どちらに言葉の重みがあるかを判断するのは国民だ。さらに深刻な政治不信の原因は、国民の判断と政治家の判断が乖離していることだ。(2018・9・9 山崎義雄)