ババン時評 社会保障の片隅で「孤立死」

第4次安倍政権は社会保障政策に力を入れるというが、忘れられているのが高齢化社会においてますます増えていく「孤立死」だ。基本的な統計さえない。低収入や生活苦や自己中心の人生観やらで「未婚」や親に寄生する「パラサイト・シングル」が増えている。彼らは「孤立死」予備軍だ。

 

それに対して、「孤立化」と「孤立死」を防ぐ対策はきわめて心もとない。介護施設への入居、特に特養(特別養護老人ホーム)への入居は希望しても数カ月から数年待ちと言われる。民間の施設は費用面で厳しい。地域の見守りサービスも試行錯誤の段階である。何より見守りサービスなどは、人間味に欠ける“最後の見極め”的であり「孤立化」「孤独死」防止の本質的な対策とは言い難い。

 

当然ながら独居者自身にも、不測の事態に備える覚悟と費用の貯えなどの心掛けが求められる。が、「仕事ひとすじ のち孤立死」は辛い。「生老病死」という仏の教えに現実世界の対策を考えるのが政治だろう。とりわけ「老いること」「病むこと」「死ぬこと」に冷たい政治では困る。(2018・10)

山崎義雄のHP「ババンG」に関連小論あり。ご高覧を!