ババン時評 安倍首相発言の“3類型”

 

安倍首相の「強気・負けん気」は育ちの良さからくるのもではないか。たまたま朝日新聞(3・26)が、コラム・論壇ではなく一般記事で安倍首相の言説を分析している。記事は、「首相、批判かわす3答弁」というタイトルで、今国会の安倍晋三首相の答弁姿勢に、3つの特徴が表れていると皮肉って?いる。その“3類型”とは、「大風呂敷」「論点ずらし」「取り繕い」だという。

それによると、「大風呂敷」の例では、統計問題の解決に意気込みを示しながらも実際には証人喚問や資料の提出が進まない。「論点ずらし」の例では、安倍政権下で実質賃金が下がっているという野党の指摘に直接反論せず、総雇用者所得は上がっていると反論。「取り繕い」の例では、沖縄・辺野古の、「あそこのサンゴは移している」と発言し、実際は区域外のごく一部のサンゴ移植だったが、野党の追及に「やっていないなら間違いだが、やっている。間違いではない」と抗弁。

たまたま先ごろ私の「ババン時評」(2/5)で、「巧言令色鮮し仁」というタイトルで安倍首相のことを書いた。さわりをかいつまんで採録すると、『安倍首相は、育ちの良さからくるプライドで態度が高慢に見える。国会答弁でも負けん気でひと言多くなる。言い過ぎてもなかなか素直に謝らない。「巧言令色鮮(すくな)し仁」という。安倍首相がそうだとはいわないが、多弁・雄弁で逆ねじを食わせるような答弁はよろしくない。安倍首相は、よく「丁寧に説明して理解を得る」とか「真摯に受け止める」とか言うが、(中略)安倍首相のイメージに似つかわしくないそんな空疎な発言に鼻白んでいる国民は少なくない。残念ながら安倍首相の発言には誠実みや真実みが欠けている』と書かせてもらった。

先の朝日記事の結びのエピソードでは、共産党の小池書記局長が「私の質問に全く答えていない」と迫ったところ、安倍首相の返答は、「小池氏の気に食わないかもしれないが、誠実に答えている」―。これでは、「私が丁寧に説明してもあんたが気に食わないならしょうがないじゃないか」と言っているようで、まさに安倍首相の面目躍如だが、笑ってばかりもいられない。

先の私の小論でも、1つの事例で、『多弁ゆえのよけいな発言だったのなら柔軟に撤回・謝罪すべきだが、安倍首相は決してそれをやらない。反省して褌を締め直さなければ、今度の参院選にご用心ということになる』と結んでおいた。(2019・3・28)