ババン時評 令和の若者よ熱くなれ

 

新時代の令和元年は数カ月で過ぎ去り、あっという間に令和2年の春を迎える。これからの日本はどうなるのか。課題は多いが、新日本の未来を若者たちに託すしかない高齢者としては、なんとなく無気力に見える昨今の若者たちが気になっている。もちろんその思いは期待の裏返しで、日本の若者に失望しているわけではない。

そんな折りに、日本財団による国際的な「18歳意識調査」の結果が発表された。対象は、日本や中国、韓国、ベトナム、インド、インドネシア、米国、英国、ドイツの9カ国だ。そして結果は、アジアや欧米の若者に比べて日本の若者は社会参加意識が低いというのだ。

具体的な結果を見ると、「自分で国や社会を変えられる」と思うかどうかという設問で、イエスと答えた日本の若者は18・3%で、トップのインド83・4%とは格段の差がある。「自分を大人だと思う」では、日本は29・1%で常識的に見えるが、トップの中国は89・9%で自信満々だ。「自分は責任ある社会の一員だ」では日本は44・8%だが、トップの中国は96・5%だ。ここでも中国の若者の強気が目立つ。

さらに注目されるのは、「自分の国の将来」についての見通しだ。日本の若者は、「良くなる」9・6%、「悪くなる」37・9%などと総じて悲観的だ。自国が「良くなる」で多いのは中国96・2%、「悪くなる」で目立つのはEU離脱で混乱する英国43・4%だ。ここでも中国青年の自信が断トツだ。

調査結果からみると、日本の若者は冷めきっているように見えるが、見方を変えれば現実を冷静に見ており、日本の若者は良くも悪くも“大人”だと言えるのではないか。調査では単純に数値で比較するが、お国柄も違えば国民性も違う。歴史的・民族的な特性や教育などによって若者の“体温”や“意識”に差がでることになり、それによって回答が左右されることになるだろう。その意味でむしろ中国など、熱く答える国の青年やその国の未来に一抹の不安を感じるところがある。

昨年の経済協力開発機構OECD)の調査では、日本の若者は「科学」や「数学」で世界トップレベルにあるという。“体温”や“意識”に左右されない分野では日本の若者が強いという一例だ。その上で欲を言えば、日本の若者に“体温”の熱さや“意識”の高さが欲しいという思いも強い。そのためにも、令和の政治や教育の目がそこに向けられるべきではないか。(2019・12・20 山崎義雄)