ババン時評 もう暮らしに困らない

 

令和の初夢―。日本に生まれてよかった。誰も暮らしに困らない。世界を見渡しても日本ほど穏やかでいい国はない。政治は安定しているし景気の伸びも2%前後で推移している。失業率も2%以下で完全雇用に近い。

この分で行けば、国の借金1兆円も20年ほどもすれば完全に解消するのではないか。また、高齢化による社会保障費が重荷になっていたが、団塊世代の高齢化もピークを越えて社会保障費の伸びも頭打ちから減少に向かっている。

働き口はいくらでもあるのだから、学歴格差も男女格差も所得格差さえ気にならない。産業はIT化・ロボット化されて“省人化”が進んだが、人間らしいサービス産業化で人間の働き口が増えた。老人だって役所のシルバーセンターに行けば、ボランティアから有給の仕事までたっぷりと用意されている。

特に高齢者は、知恵と経験を生かして教育や介護の分野で生き生きと活動している。第一、所得のない高齢者や低所得世帯には「生活基本給」が支給されるのだから、まずは食うに困らない。だから消費税はずいぶん上がったが誰も文句を言わない。

食うに困らないのだから、のんびりとした田舎暮らしが増えた。東京や大都市から地方へのUターンが進んだ。地方の中心都市には、医療や介護の施設が整っている。空き家の整備が進んで安い住まいが提供されている。

むかし「ふるさと創生」などといって無駄金をバラ撒いた総理大臣もいたが、今は地方に活気があふれている。農業や林業も復活したし、特色のある地方の文化が復興され継承されるようになった。各地に特色のある「芸術村」が増えている。

なんと、生活に困らないだけでなく、豊かな自然に囲まれた田舎暮らしのせいか、地方から出生率が回復して、ひところ懸念された少子化問題が自然解消に向かっている。子供が増え、若者が活気づき、独り暮らしの老人も減少に向かっている。先の国民生活アンケートでは、日本国民の生活満足度が90%を超えた―。令和の初夢だが正夢になってもらいたい。(2020・1・2 山崎義雄)