ババン時評 高圧中国VS大甘日本

 

被害者が非難されるのは理不尽ではないか。わが国の中国コロナ対策が、初期対応が甘かった、小出しの対策だ、後手後手の対応だなどと非難を浴びている。迅速・適切な初期対応の前に初期情報がなかったのだ。情報隠しの中国こそ責められるべきではないか。

また、中国コロナの“拡大拠点”となったクルーズ船の入港を認めた日本は“大甘”かもしれないが、常識的で人道的な判断だった。イギリス企業の持ち船で、アメリカの旅行会社が運用する同船の入港を認めて、大変な苦労をさせられた日本が、対応がまずいと非難されるのは解しがたい。

日本政府は当初、乗船者の自国への即時帰国を提案したが、アメリカ政府などの要請も受けて入港させ、感染拡大防止に苦労した。それで当初は世界各国の評価と感謝を受けたのだが、船内感染が増えるにつれて手のひら返しの非難を浴びるようになった。

日本の苦労に対しては元凶の中国から詫びの一言もない。さらに、今や中国寄りの姿勢がはっきりしてきたWHO(世界保健機関)は、中国に対する“厳重注意”の声明さえも出すことをやめた上に、この3月初めには、これまでの韓国、イタリア、イランに加えて、日本における流行は最も大きな懸念材料であると名指しで指摘してきた。

中国コロナで危ない国の筆頭にさせられた韓国の文在寅大統領が、習近平主席に頑張りましょうとエールを送って痛く感謝されたという。それには日本も関係あるだろう。こちらからは習主席の来日を断らないと言っていた弱気でお人よしの日本が、やっと習主席の来日延期にこぎつけた。この対応こそ遅きに失した感を否めない。

来日して安倍首相らと握手し、天皇にも謁見し、日本は中国の味方だと国際社会にアピールしようという習主席の目論見が外れた。内外で孤立感を強めている習主席にとっては文大統領のゴマすりも感謝の対象になるのだろう。

ともあれ、ここにきてやっと習主席は中国コロナ蔓延について危機感を表明したり、反省ともとれる言い回しをしたりするようになった。とは言え、本心からの反省でないことだけは明らかだ。国内の関係機関に感染ルートを探れと指示したり、感染源が中国でないかもしれないと匂わせるような言動も見られるようだ。それで世界の信頼を繋ぎとめられるのか。中国よどこへ行く。(2020・3・6 山崎義雄)