ババン時評 新型コロナが呼ぶ中国不信

 

中国コロナで“生物兵器”を連想した。新型コロナは工夫次第で生物兵器にもなり得よう。生物兵器は、核兵器化学兵器と並んで3大大量破壊兵器と言われるが、中でも生物兵器は最も安上がりで効果の大きい兵器であるところから、テロなどに使われる恐れが強い。

生物兵器の嚆矢は、古代ギリシアアテナイ軍がヘレボルスという有害な植物をキルハの水源に投入し、敵側に激しい下痢を起こさせて疲弊させ、侵略に成功したことだというから、侵略者にとっては古から魅力的な征服手段であったことが分かる。

ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』は、歴史を振り返って、ヨーロッパ人が他の大陸を征服できた直接の要因は、進化した民族が鉄や銃を手に入れ、これを使っただけではなく、家畜がもたらす病原菌を持ち込んで免疫のない他民族を殺していった歴史だと言っている。

逆に意図しないところで病原菌が寄与したと評価する?珍しい見方もある。15世紀のヨーロッパにペスト(黒死病)が流行り、欧州人口の3分の1が死亡した。時あたかもルネサンスを迎えた時期であり、ギリシャ、ローマの文芸・文化が“後進国”のイタリアに流入したが、ついでにペスト菌も持ち込まれた。

そのペストの流行が、簡単に人が死ぬという現実を目の当たりにした人々に、人生を神に頼って敬けんに生きるか、神から決別して刹那的に楽しく生きるかを問いかけ、当時の哲学者にも影響を与えて、思想史の発展の上でルネサンスに大きく寄与したというのである(出口治明『宗教と哲学全史』)。

残念ながら?病原菌の蔓延にそういうケガの功名的な余禄はまずあり得ない。中国では、1980年代に国際法違反の生物兵器開発が進められ、製造工場もあったという。研究施設か工場から漏れたウイルスによると見られる出血熱が流行ったことがあるというから、中国には病原菌との“親和性”がある。

特に今回の中国コロナでは、露骨な情報隠しをやり、真相を漏らした文化人を拘束し、中国コロナが主要議題になったG20会議に代表を出席させなかったりで、さんざ中国の正体を見せつけた。このような不可解な“近代国家”中国が、軍事力と経済力だけで世界制覇を目指しては、世界の疑惑や疑心暗鬼を招くだけではないか。(2020・3・8 山崎義雄)