ババン時評 日韓の関係改善を急ぐな?

韓国の相も変らぬ反日意識にイラつくのはバカバカしい。と言いながらも読売新聞と韓国日報による6月発表の日韓世論調査の結果にまた首をひねってしまう。設問にある韓国の元徴用工問題は、65年の日韓請求権・経済協力協定で解決済みだというのが日本の立場だ。

したがって、この徴用工問題の“蒸し返し”にお墨付きを与えた韓国最高裁判決は国際法違反である。この日本の主張について、日本人の70%が「理解できる」としているが、韓国は81%が「納得できない」とする。どうしてこうも真反対の意見になるのだろうか。

例えば軍事的脅威を感じる国についての質問では、「北朝鮮」が日本では79%、韓国では63%でトップ。中国を「信頼できない」とする回答も双方で約8割だ。韓国にも正しくものを見る目がある。だが対日問題となると途端に目が曇ってしまうようだ。

そもそも韓国最高裁も文政権も、65年の日韓請求権・経済協力協定の精神や条文について“まっとうな”解釈をしない。政治的な“たくらみ”や意図的な“ひねり”を効かせた解釈をする。高額の“賠償金”までつけて協定を結び、必要な韓国内の保障は韓国政府で行うと約束した協定である。元徴用工への保障が必要なら韓国政府が行うべきだ。

このような韓国に、日本はあまりに気を使いすぎる。だが、昨年10月の日本経済新聞の日韓関係に関する世論調査では、7割の国民が、「日本が譲歩してまでも関係改善を急ぐ必要はない」と答えている。譲歩すればつけあがるという、これまでの韓国のやり口に学んだ常識的な判断であろう。

ついでに引用すると2年前の朝日新聞(10・31)社説では、「徴用工裁判」について「政府が協定を巡る見解を維持するのは当然としても、多くの人々に暴力的な動員や過酷な労働を強いた史実を認めることに及び腰であってはならない」といっている。「史実」を引き合いに出すのは、65年協定にまともに対峙しない韓国的物言いそのものだ。

先に「韓国の“トリセツ”はあるか」という一文を書いた。残念ながら韓国の取り扱いマニュアルはない。日経調査に見るように、日韓の関係改善を急ぐ必要はない。韓国への直接的な説得はムダだとあきらめて、事の真相を世界に向けて発信すべきだろう。(2020・6・17 山崎義雄)