ババン時評 コロナ後日本が向かう先

コロナの終息も見えないが、その後に日本が向かう先はさらに見えない。国も説明してくれない。今後の国の政策を示す「骨太の方針」が発表されたが、関心を持って読む国民はあまり多くないだろう。第一ボリュームがあって内容が平板だ。読んで面白くない。

とは言え、今年の骨太方針の骨子は、新型コロナ対策、デジタル化の推進、地方分権の推進、働き方・暮らしの改革など、目下の重要課題が並ぶ。だが、各省の政策を寄せ集めたように平板で、骨太ならぬメタボな方針だ。最も重要な経済の立て直しと暮らしの先行きについて、丁寧にも分かりやすくも語られていない。

もともと骨太方針は、政府の方針を中央省庁に示して予算編成の方向をリードするもので、必ずしも国民に分かりやすく説明する必要はないともいえるが、骨太方針20年の歴史の中で、昔は年金改革や郵政民営化などの目玉政策が盛り込まれていて国民の関心が注がれ、国もそうした目玉政策を国民にアピールする姿勢が強かった。

もと経企庁出身の経済学者・小峰隆夫さんが語っている(読売7・6)。昭和時代の課題はオイル・ショックなど「外生型」だったが平成の課題は金融危機、デフレ、人口減少など日本で起きた「内生型」だったと言い、これをそっくり令和の時代が受け継いでいると言う。

そして、日本は「外生型」の危機に対しては、横並びで火事場の馬鹿力とも言うべき対応力でうまく対応できるが、自らが引き起こした「内生型」の課題に対しては、責任とコストを分担し合いながら対処していくのが苦手だと指摘する。

まさに今、日本は苦手な課題に直面している。そして政治家に責任とコスト意識がない。コロナで破綻した財政に加えて、さらに、コロナ対策のためには来年度の各省の予算要求額を削らない方針だという。財政悪化が進むことは必定だ。麻生財政相には、財政収支の黒字化目標を「直ちに見直す必要があるとは考えていない」などとのんびり言われては困る。

政府は、コロナ後の社会像について、開店休業状態の未来投資会議を活用して協議する方針だというが、何かといえば諮問会議のようなものを作るのは、政治家の不勉強と政策立案能力の欠如を示すものではないか。(2020・7・27 山崎義雄)