ババン時評 “盗用”軍事技術の中国

中国の“盗癖”は広く知られれているが、先ごろ米国で中国籍ハッカー2人が逮捕・起訴された。ハッキングの対象企業はIT関連や医薬品のほか、軍事関連など幅広い業種に及び、新型コロナウイルスのワクチンや治療薬の研究企業も標的になっていた。被害は日米のほか英国やドイツ、韓国など11カ国について確認されているという。

次いで米国は、中国がスパイ拠点に利用していたとしてヒューストンの中国総領事館を閉鎖させた。米政府は、産業スパイ行為や知的財産の窃取に中国外交官が関与していたと見る。中国政府は報復措置として中国・成都の米総領事館の閉鎖を命じた。

さらに、中国軍所属の4人が身分を偽り、不正ピザで入国し、大学研究者などとして中国総領事館の指示の下にスパイ活動に従事していたことが発覚し逮捕された。同様の事例が国内25以上の都市でもあり、連邦捜査局が(FBI)が関係者を聴取しているという。

「中国は、軍事研究や兵器開発にほとんど費用をかけない。そのわけは、必要な情報・データをペンタゴンや防衛民間企業から盗み出すハッカーのスキルが高いからである」と、ピーター・ナヴァロ著 赤根洋子訳『米中もし戦わば 戦争の地政学』(文芸春秋)にある。以下はほとんど同書から盗み出した、ではない引用した自分用のメモである。

中国はハッカー育成に力を入れている。技術系の私立学校や「ハッカー専門学校」、ハルビン工業大学などでサイバースパイ活動に必要な工学や数学の高等教育を受ける。魅力的な進路は外国、米国の大学だ。人民解放軍のサイバー部隊は10万人。上海のATP1部隊は米などの主要産業140社以上のセキュリティシステムに不正にアクセスしている。

中国は、購入したテクノロジーなどを模倣するリバースエンジニアリングで模倣品を製造し、世界に売り出す。ロシアの最新鋭戦闘機スホーイの模造品を世界に売り出してロシアの商売に打撃を与えた。空母艦載戦闘機Su‐33の模造を非難された時は「オリジナルより性能が良い」と抗弁した。

と、ここまで紹介したところで頁がいっぱいになった。しかしメモはまだ半分ほど残っている。もったいないので、「中国“盗用”技術の転用先」と題して続きを紹介したい。(2020・8・1 山崎義雄)