ババン時評 哀れ“清浄無垢”の少女像

何を考えているのだろう。韓国が、今度はドイツ・ベルリンの市街地に慰安婦像を設置したという。これほど熱心に?日本を貶める国際宣伝をして、韓国にどんなメリットがあると考えているのか。目的の第1は日本の韓国統治時代の非人道的所業を世界に訴えることだろう。

目的の第2は、この“慰安婦像拡散”活動によって国際世論を味方につけ、日本を道義的に屈服・謝罪させ、韓国の賠償要求を呑ませることだろう。しかしそれは全くの見当違いで、ますます日本の正当な主張と対韓姿勢を硬化させるという逆効果を招くことになるだけだ。

この、韓国による“慰安婦像拡散”活動は、世界各地における「韓国系市民団体」によるものだが、この愚行を許容する韓国・文在寅政権の姿勢も到底理解しがたい。文大統領のやったことは、曲がりなりにも妥結の道を歩んできた歴代政権の努力と合意を一気に打ち壊す所業だ。

「不可逆的」に解決したはずの日韓合意を、ちゃぶ台返しのようにひっくり返したのは韓国大法院(最高裁)の判決だ。その大法院長は、文大統領が大抜擢した人物で、大法院判事を経験したこともなく、反米反日裁判官の集りである「ウリ法研究会」の元会長だという。

大抜擢した文大統領には最初から政治的意図があったと言えるだろう。しかし韓国に日韓関係で堂々と日本を責める資格があるのだろうか。慰安婦問題でも旧日本軍の非人道性を一方的に責めるが、過去において韓国軍が残した恐るべき所業ははっきりと歴史に刻まれている。

ベトナム戦争時には、連合軍に参加した韓国軍兵士にレイプされてベトナム女性が生んだ父のいない韓国混血児は3万人にのぼるという。韓国軍と慰安婦の実態、韓国慰安婦の歴史、韓国政府と韓国軍による「慰安所」経営の実態は、フリー百科事典『ウイキペディア』に詳しい。

また同辞典には、英米独仏韓国、その他の国の「軍慰安婦」の制度と実態、第1次、第2次大時の軍慰安婦の歴史などが詳しく記録されている。ここから言えることは、慰安婦問題で他国を一方的に責められる“清廉潔白”な国は一国もないということではないか。

もちろんそれが日本の免罪符になるというわけでない。しかし今、日本を一方的に責める韓国は自国の“恥部”にも目を向けるべきだ。そして“清浄無垢”の少女像を世界の耳目にさらす哀れさ“恥ずかしさ”を知るべきだろう。(2020・10・25 山崎義雄)