ババン時評 河野行革実現への期待

有名な「オペラ座舞踏会」の来年2月開催がコロナで中止が決まったという。ウィーンの舞踏会といえば、ナポレオン戦争後の戦後処理を話し合ったウィーン会議がよく知られる。

夜ごとの晩餐会と舞踏会でさっぱり議事が進まず、「会議は踊る、されど進まず」と言う名言が生まれた。議事が進まなかったのは、敗れたナポレオンのスランス領土分割や利権を巡る各国の確執があったからだ。しかし晩餐会と舞踏会のお陰で和が保たれたともいう。

ダメな会議の教訓で、「会して議せず、議して決せず、決して行わず、行って責を取らず」というのがある。正確に言えばこの教えは、前段の2つ、「会して議せず、議して決せず」が「悪い会議」で、後段の「決して行わず、行って責を取らず」は「悪い経営」の戒めだ。

似たような教えに「PDCA」すなわち「プラン(計画)、ドウ(実行)、チェック(評価)、アクション(改善)」がある。これは、戦後の高度経済成長時代から、生産管理の手法として始まったが、その後広く経営活動全般の改善・改革手法として応用されるようになった。その後、より進んだ経営戦略の一般理論として「OODAループ」が使われるようになった。

「OODAループは、「観察(Observe)-情勢への適応(Orient)-意思決定(Decide)-行動(Act)」のループで、元々は朝鮮戦争時に米軍の将官が編み出した指揮官の意思決定のための手法だが、今では企業の組織論や戦略・戦術策定から、一般社会の計画立案でも広く利用されている。

こうした教えはほとんど“輸入物”だが、わが国自前の教えにも先見の明の光る多くの教えがある。例えば吉田松陰は、「夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし、故に夢なき者に成功なし」と言っている。

いきなりだが、河野太郎行革大臣は“はぐらかし”をやらず、率直な物言いで能弁だが、時に脱線しがちだ。菅前官房長官の後釜に噂されたときは危ぶむ声もあったが、行革相に収まってよかった。トップがしゃべりすぎると関係者に沈黙や忖度が生まれ、よりよい結論にたどり着く論議が盛り上がらない。河野大臣には、よろしく松陰先生の教訓などを“服用”していただいて、省庁改革に大ナタを振るっていただきたい。(2020・11・20 山崎義雄)