ババン時評 尖閣で勝手なネツを吹く中国

先に当「ババン時評」で「尖閣諸島を取りにきた中国」を取り上げた。そのあと、中国の王毅外相が来日し、茂木敏充外相との会談後の記者会見で、またあきれた発言が飛び出した。「最近、一部の正体不明の日本の漁船が釣魚島(尖閣諸島)のデリケートな海域に侵入している。中国はそれに対して適切に対応し、中国の主権を守っていく」と言うのである。

もちろん茂木外相も黙っていたわけではない。「尖閣諸島沖縄県石垣島)周辺海域に関する日本の立場」を説明し、領海侵犯など「力による現状変更の試み」を自制するよう「中国側の前向きな行動を強く求めた」という。しかし王氏も記者団に自国の立場をまくし立てた。

この会談を産経新聞(11・24)はこう解説する。王氏の訪日打診を受けて、わが国政府は同盟国や友好国を優先する姿勢を鮮明にした。すなわち(大要)10月6日に日米豪印4カ国の外相会合を東京で開き、中国に結束を見せつけた。菅首相が今月12日にバイデン前米副大統領と電話会談した。17日にはオーストラリアのモリソン首相と対面の首脳会談を行い強固な連携を確認した。あえて辛辣なメッセージを送った上で王氏を迎えたのは、菅政権でも安全保障では強硬路線を貫く姿勢を示すためでもある―と。

大方の批判を浴びたのは、外務省内に「会談は良い雰囲気だった」(担当者)とする楽観ムードがあったという点だ。外交音痴の外務省では話にならない。本腰を据えて尖閣を取りにきた中国に日本はしっかりと対処すべきだ。わが国には、歴史的に“無主”の尖閣諸島を日本が“先占”したという正当な領有権の根拠がある。中国の主張を論破すべきだ。

広大な国土を持つ中国の歴史は他国の領土を搾取し続けた歴史である。いま問題になっている東・南シナ海の戦後における歴史だけでも、インドシナ半島フランス軍が撤退した西沙諸島を占領したのを手始めに、南ベトナム(当時)から米軍撤退するとさらに西沙諸島を、ベトナムソ連軍が撤収すると南沙諸島を、フィリピンから米軍が撤退すると南シナ海の島々を取り込んだ。そして今、軍事力を背景にして尖閣諸島を取りにきているのだ。

中国共産党は3年前に、今世紀半ばまでに「世界一流の軍隊にする」と宣言した。いま日本は、尖閣領有権を強く主張するとともに、日米安保を背景にした日米軍事力の総和的優位を背景に、尖閣諸島の実効支配に乗り出すべきではないか。(2020・1・12・3 山崎義雄)