ババン時評 韓国の言い分を聞こう

慰安婦や徴用工をめぐる、外交の基本も国際ルールも無視した韓国の言い分は許しがたい。しかしここは新春の大らかさで韓国の言い分に耳を貸そう。YESと聞くかNOと聞くか―。

 ①日本は「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した2015年の前政権との合意を守れというが、極めて政治的な過去の慰安婦合意を現政権が根本から見直すのは当然だ。YES NO

 ②日本が韓国慰安婦財団に拠出した10憶円の7割以上は元慰安婦に支給され、残金もある。しかし、前政権が始めた財団会計について現政権には何らの関心も責任もない。YES NO

 ③日本は、文在寅政権が国連などの場で慰安婦問題を蒸し返していると非難するが、国連は韓国の正当な申し出を受け入れて日韓対立に対する正当な判断を下すべきだ。YES NO

 ④日本は財団への10億円拠出で政治決着を図ろうとした。日本は過去に何度も口先だけの「お詫びと反省」を繰り返してきた。韓国が財団を解消したのは当然である。YES NO 

 ⑤日本は、ソウルの日本大使館前の少女像や世界各地の少女像の撤去を要求するが、市民団体の意思で設置した少女像を国家が強権で撤去させることはできない。YES NO

 ⑥日本は、韓国が2017年に「慰安婦記念日」を設定したことを反日世論を煽るだけで無責任だと非難するが、これは内政干渉であり日本が口出しすべき問題ではない。YES NO

 ⑦大使館前に少女像を建てた元慰安婦支援団体の元トップが、団体資金の横領容疑で起訴された。これは韓国の司法が正当に裁く問題で、日本が関わる問題ではない。YES NO

 ⑧徴用工を巡る最高裁判決は、1965年日韓請求権・経済協力協定に反するというが、独立機関である最高裁の判決は重い。政府がこれを認めるのは当然だ。YES NO

 ⑨日本は、日韓請求権・経済協力協定は国と国との約束だから守れというが、協定は徴用工個人の請求権を放棄させたものではない。したがって請求権の行使は正当だ。YES NO

⑩日本は、政権が変わっても国同士の約束は責任を持って実施されなければならないというが、慰安婦合意をした前政権を批判する現政権が合意を見直すのは当然だ。YES NO

 さてこの韓国主張をどう聞くべきか。日本側は反論の根拠を再構築すべきではないか。そしてそれを韓国に、ではなく世界に強く訴えるべきではないか。(2021・1・7 山崎義雄)