ババン時評 中国は必ず沖縄を狙う

戦争反対は万人の願いだ。しかし国防の必要性も否定しきれない。いま中国は武力に訴えても台湾を攻略すると高言しているが、いったん事あれば、台湾と同様に、中国が沖縄を取りにくるという見方が強まっている。しかし沖縄の米軍基地問題は迷走を繰り返している。

直近の動きでは、基地移設先の辺野古沖のサンゴ移植についてようやく県の許可が下りることになった。何とこれも国と県の裁判の結果、最高裁が「移植は必要だ」と裁定した結果だ。しかしこれで次の工事予定である軟弱地盤の改良工事に進めるかどうかは不透明だ。

軟弱地盤の改良工事に関する承認申請は、すでに昨年、防衛省から県に提出されているが、基地移設工事に反対の玉城デニー知事が拒んできた。玉城知事の強硬な基地反対は前任の翁長雄志元知事譲りである。このままではまた国と県との裁判沙汰になる恐れもある。

そもそも基地返還運動のきっかけは1995年の米兵による少女暴行事件だ。その後、基地の縮小や移設案で紆余曲折を重ねた。2013年、時の仲井眞弘多知事が辺野古移設を承認したが、次の基地反対派の翁長雄志知事が国との法廷闘争に持ち込み、国の勝訴で工事再開となる。そして2018年、翁長知事の死去に伴う選挙で玉城新知事の登場となる。

先ごろ読売新聞が「沖縄はいま」を連載した。そこで仲井真元知事が国と結んだ基地移転の約束が反故にされた無念を語り、沖縄米軍四軍調整官ハーマン・クラウディ氏は、普天間基地辺野古移設は、普天間を固定化するよりも持続可能な選択肢だと語っている。

また東京国際大学特命教授 村井友秀氏は、大要こう語る。・戦争になれば中国は太平洋への出口を求めて必ず沖縄を取りにくる。・「米軍基地があるから攻撃される」という理屈は正しくない。・基地の撤廃や削減は、「攻めてきていいよ」という中国へのメッセージになる。

米議会の諮問機関報告(2016年)では、「中国軍部は、沖縄駐留の米軍が有する遠隔地への兵力投入能力を深刻に懸念している」として、中国は沖縄に政治工作員を送り込んで米軍基地反対運動を煽り、日米の離間工作(間接侵略)を進めている。さらには基地周辺の不動産購入・活用などで基地情報の収集や自衛隊との連携監視を行っている。(ウイキペディア)

中国の出方は目に見えている。離島を盗るのは実績を積み重ねてきた中国の得意手だ。狡猾な中国が、米軍基地のある沖縄を取る犠牲と基地のない沖縄を取る損得勘定を考えないはずはない。基地の縮小や撤廃は米国の“やる気”の減退を示すことでもある。米軍がいなくなればすぐにでも沖縄を盗りにかかるだろう。日米の同盟強化で沖縄の守りを固める以外に日本の取る道はない。(2021・7・20 山崎義雄)