ババン時評 人の神経を逆なでする韓国

先ごろ韓国の金昌龍・警察庁長官竹島に上陸(11月16日)した。これがワシントンにおける日米韓外務次官協議と日時的に重なったことで物議をかもした。この心無い?金長官、というより韓国の所業に日本が反発して、次官協議後の3者共同記者会見をボイコットした。

日本は翌日の記者会見で、松野博一官房長官が「竹島は歴史的事実からも、国際法上も、明らかに日本固有の領土であり、到底受け入れることはできない。極めて遺憾だ」として韓国に強く抗議した。しかも金長官の目的は、同島の警備隊員の激励と、最近追加したレーダーなど監視装置の状況確認のためだといわれる。人の神経を逆なでするような韓国の振る舞いに日本が抗議するのは当然だろう。

韓国通のジャーナリスト・辺真一氏のネット稿「日米間共同会見をボイコットした日本の対応を韓国のメディアはどう伝えたのか?」によれば、韓国メディはこぞって日本の態度を問題にする見出しを掲げたという。最大手通信の「聯合ニュース」をはじめ、「SBSテレビ」、保守系「朝鮮TV」、半官半民の「KBSテレビ」は、いずれも日本が「韓米日共助」を損ねたと報じているらしい。

新聞では政府系の「ハンギョレ新聞」、中立系の「国民日報」は、客観報道に徹していたが、政府寄りでも「ソウル新聞」と「京郷新聞」は、日本の動きを、岸田首相が日韓関係で機先を制する表れとか、日米関係に自信を持っている表れと分析しているという。

保守紙「東亜日報」は、日本の「途方もない主張」は「稚拙な外交形態」であり、徴用工問題でも「韓国が先に解決策を示せと責任を我が政府に押し付ける傲慢な態度で一貫」と非難。一方で「韓日関係をそのまま次の政権に委ねてはならない。より積極的な対日外交で転換点をつくるべきである」と言う。ただし文政権ならその「転換点」は日本が作れと言うだろう。

韓国マスコミに、徹底的に欠落しているのは、まったく反省の色がないことである。繰り返しになるが、竹島は日韓の係争地である。その島になぜ日米韓の外務次官協議の折りに行かなければならないのか、単なる無神経な所業なのか、承知の上で意図的に問題化しているのか。

韓国の言う「韓米日共助」が本当に大事だと思うならば、せめて金長官の竹島行きを外務次官協議後に延期するぐらいの配慮があってしかるべきではないか。己が紛争のタネを撒いておきながら結果で相手を非難するという、下世話に言えば逆ねじを食わせるような、人の神経を逆なでするような韓国の振る舞いと言辞はとうてい理解しがたい。(2021・12・1 山崎義雄)