ババン時評 共産党の言い分を聞こう?!

日本の政党のなかで、戦前・戦後を一つの名前で通している政党は日本共産党だけだという。その共産党が、結党100周年を迎えた。志位和夫委員長が、記者会見で、共産党の100年を貫く特質は、「不屈性、自己改革、国民との共同」だと話した。つまり、社会進歩の大義を貫いてきた不屈性。科学的社会主義を土台に進めてきた自己改革。そして、国民との共同で政治を変えるという姿勢である。

話を続ける前に、日経新聞(7・16)に、志位委員長の談話記事があり、記者の筆も加わって党の履歴がちりばめられている。まず、日本共産党は、世界革命を目指す旧ソ連共産党の指導を受けたコミンテルンの日本支部として誕生。戦後は武力革命路線を否定し、宮本顕治元議長の下で、61年に採択した党綱領で「資本主義の枠内での民主主義革命」などを明記。旧ソ連や中国の覇権主義と対峙する自主独立路線を敷いた。2004年に綱領を見直し、天皇制や自衛隊を当面容認。それでも党勢は低迷。党員数は90年のおよそ50万人をピークに、20年には27万人になった、と記す。

そして100周年記者会見で志位委員長は、党における「戦前の戦いは、日本国憲法に実った」とする。太平洋戦争に向かう時期に、他の党はすべて自らの党を解散して、侵略戦争を進める「大政翼賛会」に合流した。共産党は、多くの迫害を受けながら不屈の戦いを続け、『戦後の日本国憲法に、「政府の行為」によって戦争をひきおこしたことへの反省と、国民主権が明記された』と自負する。

今、問題の日米連携では、「覇権主義をきっぱり拒否する立場は、何よりも対米関係においてきわめて重要」だとして、対米「従属の根源―日米安保条約を国民多数の合意で解消し、対等・平等・友好の日米関係をつくることを日本改革の中心課題にすえている日本共産党の立場はいよいよ重要」だとする。

さらに、野党連携に関しては、「日本の政治を変える道は、共闘しかない」と言い、「これまでの7年間の共闘のとりくみをふまえ、この流れをどう発展させるかについて、市民と野党が胸襟を開いて話しあい、この運動の前途を開くことを心からよびかける」と言う。

ここでまた、先の日経記事に付帯して載っている一橋大教授・中北浩爾氏の意見を引用する。それは、大要「野党共闘を進めるなら2つの政策の見直しが必要だ。1つは、外交・安全保障。共産党日米安全保障条約の廃棄を掲げ、自衛隊の現状維持か解消を目指している。もう1つは、連合、特に民間労組は建設的な労使関係を重視する。この考え方を変えない限り共産党とは組めない」と言っている。

さて、今後の路線に関しては、「発達した資本主義国での社会変革は、社会主義共産主義への大道である」との立場で、21世紀を、搾取も抑圧もない共同社会への建設に向かう人類史的な前進の世紀とすることをめざして、力をつくす」と言う。躍進を期待したい。(2022・7・31 山崎義雄)