ババン時評 中国は必ず尖閣を盗りにくる

中国は近年、力による現状変更を東・南シナ海で繰り返し試みている。東シナ海上空では、一方的に設定した「防空識別圏」(ADIZ)の実効的な運用を重視しているとみられ、日米との軍事的緊張がさらに高まりそうだ。そのような折りに、読売新聞社は昨年12月下旬、東シナ海上空に本社機を4日間で計6回飛ばし、中国軍艦を広範囲にわたって探した。その結果、中国ADIZの境界近くで中国軍艦の姿をカメラに収めた。その近くで海上自衛隊の新型護衛艦「みくま」が、艦載ヘリを着艦させる様子も捉えた。

中国は1992年、尖閣諸島を中国領と明記した領海法を制定したが、自国の領海だとする顕著な動きはなかった。しかし、2008年に中国は尖閣諸島周辺の日本領海に公船を派遣し始め、現状変更を試みるようになった。近年では、尖閣沖の接続水域に中国海軍艦が入る例もあった。南シナ海でも、中国は領海について独自の主張を展開している。小さな変化を長期間重ね、既成事実化していく手法は「サラミスライス戦略」と呼ばれる。

国際法では「航行の自由」と同様に、公海における「上空飛行の自由」が原則だ。読売機は今回の飛行にあたって、中国が要求する手続きをおこなわずに中国のADIZ内に入った。中国側からの妨害行為はなかった。これは「みくま」のような日本側のけん制があるからだろう。

日本政府(内閣官房)は、このような声明を出している。『中国政府は、1992年に「中華人民共和国領海および接続水域法」を公布した際に、尖閣諸島は中国の領土に属すると一方的に制定し、さらに、2012年には声明を発表して、その中で魚釣島およびその付属島嶼領海基線を公布しました。また、2013年には一方的に東シナ海上空に「防空識別区」を設定し、尖閣諸島空域があたかも「中国の領空」であるかのように表示しました。2008(平成20)年以降は、継続的に中国政府の船舶が尖閣諸島周辺に派遣され、頻繁に領海侵入するなど、日本への挑発的行動を繰り返しています。これに対し、日本としては、日本の領土、領海、領空は断固として守り抜くとの決意の下、冷静かつ毅然とした対応を行うとともに、中国に対して厳重に抗議を行っています。』

なお、中国の「領海法」に関して言えば、中国は92年2月25日、全国人民代表大会全人代=国会)で尖閣諸島を中国の「領土」と明記し、領海侵入に対して「必要なあらゆる措置を取る」などと明記した。この略奪国家・中国は、台湾侵攻の前に、あるいは同時に、尖閣を盗りにくるものと考えるべきだ。(山崎義雄R6/2/3)