2020-01-01から1年間の記事一覧

ババン時評 「病める現代」の人づき合い

「人生相談」の名人でもある哲学者の鷲田清一さんは、人生相談のコツは相談に「答える」のではなく「乗る」ことだと言っている。相談に「乗る」ということは、「相談する人」と「回答する人」の対面的な関係ではないということだろう。言い換えれば両者は、…

ババン時評 “貧乏の悪循環”脱出法

菅首相は、国民に「自助・共助・公助」の“教え”を説いた。この教えは富裕層にではなく貧困層に向けた教えだ。つまり、自らの生活を防衛するためには、第1に自助努力をしろ、第2に共助で助け合え、第3の公助は、最後にダメなら国が面倒を見てやろうという段取…

ババン時評 日本女性は強くなったのか

近ごろ、なぜか女性の自殺者が増えているという。それで連想ゲームのように思い出したのが、私ではない!口の悪い友人が酒の席で言った、「このごろ威勢の良い説教ばあさんが増えた」というけしからん放言だ。そしてたちどころに数名の著名な女性作家名と人…

ババン時評 初夢・日本主導の太平洋連合

令和の始まりはコロナに席巻された。世界の状況も暗い。安倍前首相と違って菅首相が外交政策を語ることはあまりない。米中の間に挟まって未だに立ち位置も定まらない。米バイデン新大統領との連携もこれからだ。令和3年の年明けも明るさが見えそうにない。 …

ババン時評 教科書が教える領土問題

国と外務省が「尖閣諸島に領土権問題は存在しない」と言っているのだが、最近の中学校教科書では、その領土権問題を教えるようになっている。池上彰・佐藤優著「人生で必要な教養は中学校教科書ですべて身につく」によると、中学校教科書に、こうあるという。…

ババン時評 「電子」と「紙」の勝負

今の世の中、あれもこれもデジタル化の時代である。ペーパーもハンコも時代遅れというわけだ。デジタル庁が発足すればまずは行政事務からデジタル化が始まるだろうが、ヘタをすると「マイナンバーカード」の普及などで終わりかねない。なにしろ民間レベルで…

ババン時評 尖閣で勝手なネツを吹く中国

先に当「ババン時評」で「尖閣諸島を取りにきた中国」を取り上げた。そのあと、中国の王毅外相が来日し、茂木敏充外相との会談後の記者会見で、またあきれた発言が飛び出した。「最近、一部の正体不明の日本の漁船が釣魚島(尖閣諸島)のデリケートな海域に…

ババン時評 正直者はバカをみる?

コロナ対策で、国がいろいろな支援金をバラ撒いている。そして案の定、その支援金の不正受給が増えている。コロナで落ち込んだ観光需要を喚起するための「Go To トラベル」事業で、利用者に発行される「地域共通クーポン」を不正に受給するケースが続発した…

ババン時評 空虚な国会コンニャク問答

この小文は責めるも守るも低レベルの国会論戦だという不真面目な話だ。今の予算委集中審議でもまた、コロナ対策をはじめ学術会議問題、そしてサクラを見る会の話など、終わりのない堂々巡りのコンニャク問答が展開された。 コロナ対策では、当然のように野党…

ババン時評 河野行革実現への期待

有名な「オペラ座舞踏会」の来年2月開催がコロナで中止が決まったという。ウィーンの舞踏会といえば、ナポレオン戦争後の戦後処理を話し合ったウィーン会議がよく知られる。 夜ごとの晩餐会と舞踏会でさっぱり議事が進まず、「会議は踊る、されど進まず」と…

ババン時評 話にならない中国の理屈

いつものことだが、中国の言い分は手前勝手で不可解だ。先ごろ、コロナ下のためにオンライン方式で行われた東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の首脳会議で、米国・トランプ大統領の代理として出席したロバート・オブライエン国家安全保障担当大統領補佐官が中…

ババン時評 中国共産軍の“欺瞞戦勝”

いつものことだが、中国の自己宣伝はあまりにも度が過ぎる。先月の「抗日戦争75周年」記念講演においても、今月の「朝鮮戦争参戦70年」の記念式典においても、中国共産党軍は大勝利したというのである。つまり先の大戦における抗日戦とその後の朝鮮戦争に…

ババン時評 もう逃げられない立憲民主

日本の憲法ほど“無傷で長持ち”している憲法は世界に類を見ない。今年で日本国憲法は公布から74年目を迎えた。安倍前首相の悲願だった憲法改正論議が進まず、菅首相の自民党と再編後の立憲民主党による仕切り直しがはじまる。読売新聞(11・4)が、「公…

ババン時評 “ねこばば氏”への謝罪

だいぶ以前、これに似たテーマでエッセイを発表したことがある。また同じような話を書く気になったのは、また同じような落とし物をしたことからだ。しかし落し物は出てきたので本当は「“拾い主”に感謝」の話である。今月7日の夜、地下鉄・日比谷駅の構内で長…

ババン時評 学術会議“混迷”脱出へ

先にこの「ババン時評」で「総理は我慢が足りなかった」と書いた(10・13)。そして、「学術会議見直しと6名の任命拒否問題は、はっきり切り離して処理すべきだった。学術会議見直しは堂々たる政策課題だが、6名の問題は取るに足らない些末の問題だ」として…

ババン時評 なぞなぞ「核兵器禁止条約」

〈核兵器禁止は可能か〉 核兵器禁止条約は批准に必要な50カ国・地域の要件を満たして来年1月に発効する。しかしこれを100カ国、100数十カ国へと拡大していくことは容易ではないだろう。核保有を望む国も少なくない。日本においてすら核開発の論議がある。 〈…

ババン時評 「しめたもの夫婦」の形

「しめたもの夫婦」については後で触れるとして、まずは先ごろ、80半ばで逝った先輩の葬儀に参列した。自ら歩んできた高校、大学、会社OB会などのリーダーを務めた人だけに、社交的で人脈も広く、明るい人柄で人望のある人だった。知らせを出したら大変な葬…

ババン時評 「時代の風」を読む統率者

優れた統率者は「時代の風」に敏感だ。先ごろ、101歳で昨年11月に亡くなった中曽根康弘元首相の内閣・自民党合同葬が行われた。中曽根さんは若いころの国会における勇ましさで「青年将校」と言われ、後には政界遊泳術の巧みさで?政界の「風見鶏」と言われ…

ババン時評 哀れ“清浄無垢”の少女像

何を考えているのだろう。韓国が、今度はドイツ・ベルリンの市街地に慰安婦像を設置したという。これほど熱心に?日本を貶める国際宣伝をして、韓国にどんなメリットがあると考えているのか。目的の第1は日本の韓国統治時代の非人道的所業を世界に訴えるこ…

ババン時評 不公平・不平等は世の常

コロナ対策の目玉である国の観光支援策「GoToトラベル」事業が国と行政の不手際で混乱した。国からの補助金支給が間に合わず、一部の旅行会社で割引旅行商品の販売を中止したり割引額を引き下げたりした。それによって旅行を取りやめたり、予約の変更をした…

ババン時評 国語軽視の“言葉壊し”

文科省による「国語世論調査」では、「国語が乱れている」と感じている人は66%。20年前の調査より約20ポイント少なくなっている。同時に、本来の「言葉」の意味を正しく理解している人がどんどん少なくなっているという。だが「敬語」について、使い方が「…

ババン時評 総理は我慢が足りなかった

日本学術会議って何だ? 名前は聞いたことがあるが中身は知らない。そんな国民がけっこう多いのではないだろうか。この、一般にはあまり知られていなかった団体?が、慣例によって推薦した新会員6名の任命を、任命権者である菅首相が拒否したことで、にわか…

ババン時評 “岩盤国家”韓国の異常性

韓国人識者による、日本統治時代の功罪に対するまともな評価本も結構あるが、今売れている『反日種族主義の闘争』は勇気ある6名の韓国人学者によるきわめて学術的な一書だ。本書は前著『反日種族主義』の続編である。編著者の李栄薫(イヨンフン)ソウル大…

ババン時評 半沢直樹の教訓は「自助」

人気を博したテレビドラマ「半沢直樹」の主人公・半沢(堺直人)は、“青臭い”くらいに真直ぐな主張を押し通す熱血漢。経営危機に陥った「帝国航空」の再建計画に携わる「東京中央銀行」チームを率いて、ムリと思われた自立再建計画を推し進める。これに対し…

ババン時評 「違憲]継承は許さぬ 朝日

毎度のことではあるが、朝日新聞(9・19)社説は『安保法5年 「違憲」継承は許されぬ』とする朝日らしい論説を掲げた。安全保障関連法成立から5年。「菅首相は安倍政権の継承を掲げるが、違憲性のある法律をそのまま引き継ぐことは許されない」といい、「安…

ババン時評 菅首相の近隣外交ご苦労様

菅新首相就任に際して各国首脳からお祝いと期待のメッセージが寄せられた。とりわけ、日本を取り巻く米中ロ韓が、新政権の誕生をどう見ているのか気にかかる。米中ロ韓の声明のポイントを拾うと共通するのは菅新首相に寄せる「期待」である。もちろんその「…

ババン時評 喜怒哀楽の“馬鹿野郎”

ネット上で、橋下徹氏が怒っていた。安倍首相の辞任記者会見における記者諸氏の質問についてである。まずは、心ならずも辞任する安倍首相に対して、「長い間お疲れさまでしたくらいいえねーのかよ」と言うのである。過激な発言で物議をかもす橋下氏だが、こ…

ババン時評 “仕事人”菅首相への期待

令和おじさんこと菅義偉氏が首相になった。総理の座を夢見たことのない政治家はいないだろうから菅氏も例外ではないだろう。菅氏の場合は、「令和おじさん」人気が出た時から総理の座を狙ったという説もあるが、実際は、つい数カ月前までそれが正夢になろう…

ババン時評 TVを席巻する“黄な声”

“黄な声”の話の前に、あるスーパーに勤める中年女性Kさんの話。Kさんはよく知られる会社を勤め上げて、年金までの間をつなごうとアルバイトに出ている。店長にも信頼されて実質的に店の中心となっている。そこに入ってきた30前後のアルバイト嬢、甲高い…

ババン時評 安部・トランプの“呼吸”

心ならずも政権の座を下りることになった安倍首相だが、内政外交両面で大きな業績を残した。世界の外交舞台においても安倍首相の存在感は相当なもので、その重みは戦後日本の歴代首相の中でも図抜けているといえるのではないか。癖の強いトランプ大統領と密…