ババン時評 虫のいい韓国のWTO提訴

韓国はまた蒸し返しで、日本による「対韓輸出規制」についてWTO世界貿易機関)に提訴した。いったんはこの問題を棚上げして日韓の話し合いでの早期解決を続けてきたものの、日本側から韓国側の期待する色よい返事がなかったことにキレたというわけだ。

韓国はこの間、日本のいう韓国の貿易管理組織や人員・体制の整備を進めてきたというが、日本からすれば問題のフッ化水素など半導体がらみ3品目の韓国国内消費や再輸出の実態もよく分からないという情況で、韓国の貿易管理はいまだに不完全であり信頼できないということだ。

だいたい韓国は、日本の対韓輸出規制を、韓国大法院の元徴用工判決やらなにやらに対する日本の意趣返しだと取っているところから見当違いなのだ。そこから始まる韓国の意趣返しをかねた“悲鳴”がWTO提訴であり、次の手はこれもいちおう延期している日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄もやるぞと言い出しかねない見当違いの対抗措置となる。

GSUMIA破棄で日本に脅しをかけるのもいいが、同時にそれはトランプ米国に抵抗することになる。先ごろ、G7に韓国も呼ぼうというトランプの気まぐれ発言に小躍りして喜んだという文大統領が、GSUMIA破棄でトランプとやりあう覚悟があるのだろうか。

今回の身勝手なWTO提訴で、簡単に韓国の言い分が通用するとは思えない。この問題で最初に米国に仲裁を頼んで失敗しているように、世界の同情を得ることも難しいだろう。おまけにWTOの実態は米国の非協力的な姿勢もあって、紛争審理に当たる委員も不足しているお寒い限りの状態で、審理も1年や1年半はゆうにかかるといわれる。

聞く耳持たない韓国だからやりたいようにやらせるしかないのだろうが、まずはWTO審理の場で、半導体材料はじめとする日本からの輸入品を、韓国が危ない国に再輸出しているという日本側の疑惑に応えて実態を公表しなければならないだろう。「急がば回れ」の教えは韓国にもあるだろうが、WTOに期待しているよりは、まじめに自らの貿易管理の体制づくりに取り組んだ方がいいのではないかと思うのだが、これも余計なおせっかいだろうか。(2020・6・22 山崎義雄)