ババン時評 後絶たぬLGBTの問題発言

相変わらずLGBT性的少数者)に関する政治家の問題発言が後を絶たない。今度は、岸田首相が信を置く荒井勝喜首相秘書官がオフレコで記者らに語った、同性カップルが「隣に住んでいたら嫌だ」などとするLGBT差別発言が問題となった。数年前には杉田水脈(みお)衆議院議員が、同性婚は「子供をつくらないから生産性がない」という論文?を雑誌に発表して問題となり、簗和生衆院議員は「人間は種の保存をしなければならず、LGBTはそれに背くもの」との差別発言で物議をかもした。

おさらいだが、LGBT性的少数者)とは4タイプの性的少数者のイニシャルであり、Lはレズビアンで女性同性愛者、Gはゲイで男性同性愛者、Bはバイセクシャルでどちらでもいい両性愛者、Tはトランスジェンダーで精神面と身体面で性のありようが一致しない人である。今ではアメリカ全州で同性婚が合憲化するなど、24カ国ほどで同性婚が合法化される一方で、ロシアにおける同性愛宣伝禁止法成立をはじめ、とりわけアフリカ地域において54か国中38か国で同性愛行為が禁止されるなど、LGBTへの圧力を高める動きも顕著だ。現在のわが国は同性婚を認めていない。

今回の荒井発言をリークした毎日新聞(2・4)によると、オフレコを前提とした記者団への荒井発言は、・(同性婚制度の導入について)社会が変わる。社会に与える影響が大きい、・マイナスだ。秘書官室もみんな反対する、・隣に住んでいるのもちょっと嫌だ、・同性婚を認めたら国を捨てる人が出てくる、などの4発言について荒井秘書官は「完全にプライベートの意見」であったとして、公私混同を認めて発言を撤回した。

そのうえで、発言の真意を細かく質問される中で、「同性婚なんて導入したら、当事者よりも多く、国を捨てる人が出てきてしまう」とか、「隣に住んでいるとして、同性婚でってなったら、まあそれは嫌な感じを持ちますよね」みたいなことを言ったと思いますと、悔しい思いの註釈をつけている。

このあたりについて、何かと物言いで物議をかもす参院議員の鈴木宗男氏は、ブログで(2・5)「何故オフレコが表に出るのか。人権とかプライバシーがかかっている話が外の出るのは、信義違反、約束違反と思わないだろうか」と言い、「複数の時オフレコと言ってもどこかから表に出ることは当然なので発言はしっかり区別して対応した」と言いながらも「こんなことにめげないで頑張って生きれと激励したい」と荒井氏に同情を示している。

言論の自由は民主主義の根幹であり、公人は公私の別をわきまえながらも公正でなけらばならない。「公」の立場を持たず「私」だけの当方としては、正直なところ荒井秘書官の発言要旨に賛同するが、荒井秘書官としては公私混同の発言だったことを認めて謝罪しているものの、自覚が足りなかったと言わざるを得ない。(2023・2・10 山崎義雄)