ババン時評 初夢-限りなく明るい日本

 

これは初夢―日本国民はみんな幸せだ。平成時代の日本は暗かった。国家としては世界最高の借金国。高齢化で社会保障費が増大。所得や学歴や男女で格差が拡大。単身世帯や孤独死が増加、等々の悪夢にさいなまれていた。それがなんとすべて解決したのだ。

これまでの保守政権では考えられないことだが、平成元年の消費税3%を皮切りに、5%、8%、そして10%へと小刻みに挙げてきた消費税が、いきなり20パーセントに引き上げられたのだ。これを国民はすんなりと受け入れた。

それには訳がある。まず第Ⅰに、幼稚園から大学までの学費無償化や奨学金制度の充実がある。何より効いたのは年収300万円以下世帯への10~20万円の「生活基本金」支給だろう。その財源には、消費税アップだけでなく、年収1億円超の高額所得者への大幅所得課税と企業住民税・事業税の倍増を実現したことである。これで「所得格差」に対する一般国民の不満が大いに解消された。おかげでプライマリーバランス(財政の基礎的収支)が大幅に改善し、1千兆円近くあった国の借金が大幅減少に向かった。

少子高齢化と人口減少の問題も大幅に改善した。人口推移の予測から見ても、いずれ高齢者の数は減少に向かう。それに従って社会保障費の増大も収束する。さらに少子高齢化問題を解消する明るい対策が打ち出された。「シルバー雇用法」が実施され、企業や官公庁をはじめ、あらゆる組織体に、10%以上の高齢者雇用が義務づけられた。「適正高齢者によるボランティア支援法」によって、高齢者によるボランティア活動が促進され、特に教育や介護の分野で生き生きと活動する高齢者が増えている。

また人口減少に悩む地方を活性化するための「地域ブロック活性化法」により、都道府県内のブロック化で、中心都市を柱とした圏域の活性化が進められた。中心都市に行政や主要な医療機能などを集中させ、周辺を生活圏として、教育や介護施設などが設けられている。人口減少の度合いに準じて「地域別居住支援金」が給付され、先の「生活基本金」支給とあいまって、どこに住んでも暮らしていけることから、東京や大都市から地方へのUターンが進んだ。豊かな環境の中で婚姻率と出生率が向上した。そして今、日本国民の生活満足度は80%を超えた-。(2019・1・2 山崎義雄)