ババン時評 近ごろ話がかみ合わない

テレビ番組で元衆院議員の東国原英夫氏(61)が発言中に東海大教授の金慶珠 (キム・キョンジュ)氏(52)が「あの…」と割って入ろうとしたところ、東国原氏が「黙ってろ、お前は!黙っとけ!この野郎、しゃべりすぎだよ、お前!」と金氏に声を荒らげた。どうやら本気で怒っていたようで、いまネットでも話題になっている。

東国原氏の暴言は実に不謹慎で痛快?だ―と思うのは私だけだろうか。金女史の話の長さは格別だ。私は“その手”のテレビ番組をよく見るが、金女史の発言になるとテレビを「消音」にして次の発言者まで待つことがよくある。金女史はとりとめもなく喋っているが(もちろん「消音」中は聞こえない、聞かずに済むが)その間が実に長いのである。

このやりとりについて、東国原氏は自身のツイッターで「僕は金慶珠氏の発言内容に怒ったのでは無く、公平な発言時間(発言機会)を守らないので怒ったのです」と説明したという。最近、テレビで同類の論者が多くなり、私が「消音」にする隣国系の論者があと2人ほどいる。

この手の発言は、田原総一郎氏のように話をブッタ切って止めさせればいいのだが、ベテラン司会者でも良識や遠慮があって難しいらしい。さらに問題は、発言時間が長いことや発言機会が多いことより、むしろ発言内容の方が問題だ。この手のご仁は、他の発言者が外交や歴史上の「事実」を指摘しても、そのことには触れずに民族感情的な発言を一方的に繰り返す。したがって話がかみ合わない。かみ合わないから結論も出ない。結論も出ないから言いっぱなしに終わる。

近ごろは、真面目なテーマの番組でも、人の話をブッタ切って発言したり、自説に固執してまくしたてるご仁が増えている。テレビを見ていてもそんな場面にあきれてチャンネルを変えることが少なくない。金慶珠氏など隣国系の方々に限らず、国内の政治家や学者、評論家など有識者?にもその傾向が蔓延している。偏見と言われるかもしれないが、そんなご仁は男性より女性の方が目立つようだ。

近ごろの、話がかみ合わない典型的な例が日韓だ。韓国文大統領は、日本が反省してホワイト国外しを撤回するならば話し合いに応じる用意がある。(返球すべき)ボールは日本にあると言う。日本に言わせれば、徴用工問題をどうするのか。ボールは韓国にある、となる。ボールが2つになるところが話のかみ合わない典型的な例である。(2019・9・2 山崎義雄)