ババン時評 韓国は「道徳的優位」の国か?

韓国の話はウンザリだ、と思いながらまた書いてしまう。文在寅韓国大統領は、側近の 曺国(チョ・グク)氏の法務大臣任命を強行した。 多くの疑惑に包まれて“玉ねぎ男”と揶揄される曺氏の登用は、文大統領の対日姿勢の横暴ぶりと通じるもので、日本も無関心ではいられない。

よく知られた中国古来の教えに、「李下に冠を整(ただ)さず」「瓜田に履(くつ)を納(い)れず」がある。前者はスモモ盗人に疑われるからスモモ畑では冠を直さない。後者は、ウリ盗人に間違われるからウリの畑には踏み込まないという意味だ。

この教えを乱暴に?つづめた言葉に「瓜田李下」がある。「大辞林」によると、瓜田李下について「北斉書袁聿修伝より」として、『瓜田に履を納いれず、李下に冠を整たださず」の「瓜田」と「李下」を合わせた語で、人に疑われやすいことをするなという意』とある。

歴史上“中国学校”の優等生で自ら“小中華”を名乗った韓国が、そして文大統領や曺氏が「瓜田李下」を知らないはずがない。ちなみに、「瓜田」は、新たな任地に赴く官吏に、父だったか叔父さんだったかが、戒めとして与えた言葉だったという古事をものの本で読んだ記憶がある。法務大臣を目指すところまできた曺氏に、これまで「瓜田李下」の精神を教える人はいなかったのか。どうやら曺夫妻も学ばなければ娘にも教えなかったらしい。

文大統領は8月初めの大統領府の会議で、「韓国は道徳的優位を土台に未来を切り開く」と語ったという。文大統領は、経済を誇る日本に対して「道徳的優位」で対抗するということらしい。だが、例えば、宮崎正弘 室谷克実「中国・韓国の悪夢」では、「モラルなき韓国人への世界的反感」を語っている。

そこで室谷氏(時事通信社政治部出身の評論家)は「反韓国人感情は世界的な規模になっています。アジアや南米に行くと意張り散らすし、欧米に行くと大クレイマーになるからです。それなのに当の韓国人たちは世界で愛されていると思っているから幸せですね。何で気が付かないのだろう」と言っている。

ともあれ文大統領と韓国は、このままでは済みそうもない曺氏の法務大臣任命についてことの次第を明らかにし、理非を糺して韓国のモラルを示し、世界や日本に対する韓国の「道徳的優位」を証明すべきではないか。(2019・9・9 山崎義雄)