ババン時評 韓国-言葉の誤用・悪用の国

言葉の意味の取り違いや誤解については、しばしば目にも耳にもする。政治家などが、あえて誤用・悪用する例もあるが、時代の流れと共に言葉の意味や用例が次第に変化することも少なくない。最近、読売新聞(10・7)でおもしろい例を読んだ。本来、「煮詰まっています」という言葉の意味は、論議や仕事の進行などが最終的な段階を迎えている、という意味だ。ところが、近ごろは逆に、行きづまって結論が出ない、という意味で使われることも多いという。

似たような例で、中小企業の社長から直接聞いた実話だが、仕事の納期ぎりぎりで焦っていた社長が、従業員に「どうだ」と仕事の仕上がり具合を聞いたら、「万事休す」という答えが返ってきて驚いたという。その若い従業員は、この言葉を「すべてうまくいった。休んでもいい」というような意味に誤解していたらしい。しかしこれは言葉の転用でもなく、今後も常用されることはないだろう。

以前、友人に「全然」という言葉の意味について教えられた。いまは「全然ダメだ」という具合に全然の後には否定語が続くのが普通の用例だが、昔は肯定の意味で使われていたという。で、友人は、江戸川乱歩(だったか)の小説に、路面が「全然濡れている」という用例がある(確かめていないが)と聞いた。

先ごろ、文在寅韓国大統領が日本の対韓輸出制限を批判、「盗人猛々しい」と発言して日本人の怒りに火をつけた。この時、漫然とテレビの座談を見ていたら、出席のジャーナリストが、「盗人猛々しい」と翻訳された元の言葉は「賊反荷杖(チョクパンハジャン)」という四字熟語で、その原義は、「ムチ打たれるべき賊がムチを持つこと」だと話すのを聞いた。

だとすれば「賊反荷杖(チョクパンハジャン)」を今そっくり韓国にお返ししたい。向こうのお国の中のごたごたに口を出すこともないが(と言いながらこの小文で言いたかったのが実はこれだが)、文大統領が任命した曺国(チョ・グク)法務大臣が身内の不祥事で自らも火の粉を浴びそうな雲行きだ。

チョグク法務大臣こそ正に、“”ムチ打たれるべき賊がムチを持った”図ではないか。「韓国は道徳的優位を土台に未来を切り開く」などと虚言を弄したこともある文大統領だが、同大臣に司法のムチを持たせた責任は重い。同時に、今まさに日韓関係は虚言と脱法の文大統領によって「行きづまって結論が出ない」ほど「煮詰まった」状況で「万事休す」で、「全然おかしい」状況だ。(2019・10・10 山崎義雄)