ババン時評 変節韓国 賠償要求のホンネ

韓国は不可解な国だ。簡単に変節する国だ。慰安婦問題や徴用工問題でも時代を経て変節した。つまり、1965年の日韓基本条約締結から何十年も経ってからいきなり賠償請求を言い出した。その変節の理由は植民地支配や歴史観などに基づくものではない―という新説がある。

その新説の前におさらいすると、1945年、終戦によって日本による朝鮮半島の植民地支配が終焉を迎え、米ロなど戦勝国によって、朝鮮民族は1948年に「韓国」と「北朝鮮」の分断国家にされた。その年に両国間で朝鮮戦争が勃発し、3年に及んで休戦協定を結び現在に至っている。したがって両国間の戦争は未だに終了していないことになる。

そして終戦から20年後の1965年に日韓基本条約締結となる。それから廬武鉉政権が慰安婦問題を提起する1992年までの約27年間、韓国政府は日本政府と同じく、慰安婦問題を含むすべての過去の請求権に関わる問題は「完全かつ最終的に解決された」という立場を取っていた。この27年に終戦からの20年を加えれば、なんと半世紀近くも韓国は日本に対して戦後の賠償請求の意思を示さなかった。

その間、徴用工問題では、日本の旧厚生省は早くも終戦翌年の1946年、日本企業に対して朝鮮人への未払い額を供託所に供託するよう指示、2009年8月現在、総額3億600万円が供託されている。そして韓国政府は2009年、供託金相当額は請求権協定で日本から受け取った3億ドルに含まれており、これを韓国政府が受け取ったことで個人の請求権は消滅しているとした。

その韓国が個人の賠償要求を認める方向に変節した。変節の背景について新説を述べるのは木村幹 著「誤解しないための日韓関係講義」(PHP新書)だ。本書は、むしろ韓国寄りとも取れる日韓関係の解説書だが、その同書が、「韓国が1992年まで戦争時の賠償金を要求しなかった」本当の理由は、なんと経済的に日本に頼らざるを得なかった貧しい韓国がそれまで日本にモノを言えなかったからだと経済データや時の政情を基に分析する。

そして韓国が経済発展を遂げ、韓国経済における日本の重要性が低下したことで、それまで隠していたホンネをむき出しにして?「請求権協定の解釈を変え、事実上無意味化させていく方向へと、動いていくことになった」と解説する。

たとえこれに植民地支配を含む歴史問題などで後出しの理屈をつけたとしても不信感はぬぐえない。戦後半世紀近くも戦後補償を求めず、日韓基本条約の意義を認めてきたのに、いきなりそれを反故にして賠償請求に態度を変える韓国は、やはり変節のそしりを免れないだろう。(2022・10・8 山崎義雄)