ババン時評 韓国の汚染水発言も汚染発言

中国も韓国も困ったお隣りさんである。先に「ババン時評 中国の汚染水発言は汚染発言」だとして、中国の言い分こそ不純で有害な“汚染発言”だと書いた。「不純」だという意味は政治的意図で科学的根拠を無視し、処理水問題を外交カードに使おうとしたことである。この点は韓国も全く同断だ。ただし韓国の場合の“汚染源”は北朝鮮であることが少しずつ明らかになっているようだ。

また韓国とひとくくりで言っては日本との関係修復に苦慮している尹錫悦大統領に失礼になろう。反日“汚染発言”流布は韓国の最大野党「共に民主党」などで、同党の李在明代表は、国際原子力機構(IAEA)が安全のお墨付きを出した日本の処理水を“汚染水”と呼ぶ。そしてその海洋放出は「最悪の環境破壊」だとして「国民安全非常事態」を宣言した。さらに同党のパク・クァンウン院内代表なる人物は、韓国国民の「85%が反対する汚染水海洋投棄」で「(日本は)歴史的に後悔することになるだろう」と揚言した。

問題の“汚染源”だが、韓国の『朝鮮日報』日本語版は、「事あるごとに北朝鮮が指令を下して韓国で忠実に実行されていたなんて」(9・6社説)と驚いている。また福島原発汚染水”の海洋放出を巡っては、北朝鮮が韓国国内の一部勢力や地下組織などに対し「反対闘争を持続的に行え」という緊急の指令を下していたと韓国の情報機関である国家情報院が明らかにした。北朝鮮日本大使館や光化門広場周辺などデモを行う場所も具体的に指示していたという。

そして何かが起これば北朝鮮が指令を下し、それが韓国社会でそのまま実行に移されるパターンが繰り返されているという。つまり(韓国内の)一部の左翼団体が名称を次々と変えながら、狂牛病デモ、済州海軍基地反対デモ、セウォル号集会、在韓米軍のTHAAD(高高度防衛ミサイル)反対運動などの先頭に立ってきた。その背後に北朝鮮があったのではと疑わざるを得ないというのだ。また必要な軍資金も北から流れているという。韓国の有力マスコミがそう言っているのであるから信ぴょう性があろう。

要するに韓国社会は北朝鮮という“病原菌”にむしばまれているのである。まずは北の「持続的に行え」とする指令通り「福島汚染水放出反対汎(はん)国民大会」は数波に及んだ。第1回大会(8・26)では共に民主党・李在明代表を始め野党各党と共に7000人の参加者が路上に座り込んで投棄反対のスローガンを叫んだ。まずは参加者の中心を占める若者や“進歩的大学生”らに、北の脅威とその後ろにいる中国の危険に目覚めてもらいたい。

日本の処理水排出計画における含有トリチウム濃度に比べて中国の場合は約6・5倍と見られていたが、実際に日本が排出を始めてみたら中国の約10分の1となった。それを中国は長年にわたって海洋放出をしているのである。また韓国の月城原発は、福島原発災害前の数値で約15倍のトリチュウムを海洋に放出しているという。だとすれば既に韓国の海はいいかげん汚染されているはずだ。先の共に民主党パク・クァンウン氏は、「日本は歴史的に後悔することになるだろう」と予言したが、ここは自らの足元を見直して中韓両国の汚染水排出で韓国沿岸の魚介類が食えない状態になっていないかどうか検証してみた方がいい。(2023・9・7 山崎義雄)